資産の構築と運用の5つのステージ

資産を構築し運用して、より自由に生きるために。家計改善、株式投資、不動産投資、相続・贈与、マネーリテラシー等、新社会人からリタイア後世代まで全ての皆様に役立つ情報を発信していきます。

【ステージ5】資産の出口戦略 次世代への贈与で資産の有効活用を

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ウィステリアファイナンス主筆です。

 

現役時代は資産運用で資産を増やすことだけを考えていれば十分でしたが、リタイア後はそうはいけません。
資産の出口戦略として、資産を次世代にどう継承するかについても考える必要があります。資産継承の方法としては、主に贈与と相続があります。

今回はまず贈与について説明します。

資産の次世代への継承

本ブログ『資産の構築と運用の5つのステージ』では、段階的に資産を構築し運用することを提唱しています。(資産の構築と運用の5つのステージの詳細はこちら)を参照お願いします。)
【ステージ1】家計の黒字化から【ステージ4】投資による資産構築の加速までは、現役時代に資産運用により資産を増すことを取り扱ってきました。

人生100年時代を迎え、リタイア後も資産運用を続けて、資産を守ることが重要です。
ただし、必要以上の資産があっても、結局は相続税で取られるだけです。
このため、【ステージ5】資産の安定的な運用と継承では、資産の出口戦略として、資産を次世代に継承することについても取り扱います。

 

資産の継承の方法としては、主に贈与相続があります。

寿命が伸びていますので、かなりの高齢での相続も増えています。相続した側も既に高齢ですので、資産を使わないうちにまた次の相続を迎えるケースも多いです。
結局、資産は活用されずに眠り続けた挙句、国庫におさまることになります。非常にもったいない話です。(投資したお金で世の中の発展に役立っているので、その意味で眠っているわけではありませんが...)

政府も経済活性化等の目的から「高齢世帯から現役世帯への資産移転」を促進すべく、贈与税の非課税枠の新設・拡充やジュニアNISA、等の優遇制度を整えています。
これらを活用して、相続を待たずに、贈与による早めの次世代への資産継承を検討することをお勧めします。眠っている資産を次世代に有効活用してもらいましょう。

 

特に重要なのはお孫さんの教育です。

最近、教育格差という言葉を見聞きすることがあります。よりセンセーショナルな言葉に上級国民下級国民があります。日本社会も教育格差による社会階層が固定化され、階級社会に近づいているという話です。
これらの言説は言い過ぎのところもありますが、高等教育を受けることによって生涯年収が増加することはほぼ確実でしょう。(もちろん一般論であり、例外はあります。)

資産の一部を贈与して、お孫さんの教育資金にあててはいかがでしょうか? 将来、実を結ぶのではないでしょうか。これも一種の投資です。

暦年贈与

最も使いやすい贈与の制度は暦年贈与です。暦年課税となるような生前贈与のことです。

生前贈与とは、生存している個人から別の個人へ資産を無償で渡すことです。
贈与する人を贈与者、贈与される人を受贈者と言います。贈与税は贈与者ではなく受贈者に課されることに注意しましょう。

暦年課税の基礎控除は110万円です。つまり、受贈者が1年間で贈与された金額が110万円以下なら贈与税は非課税です。(なお、何人かの贈与者から贈与された場合、個々の金額が110万円以下ではなく、総額が110万円以下なら非課税です。)

暦年贈与では、この基礎控除を活用して、非課税で資産を継承します。
以前に「【ステージ2以降】NISAについて 概要と3種類のNISAの使い分けのポイント」で説明しましたジュニアNISAと暦年贈与は親和性が高いです。併せて使うのがお勧めです。

 

ここで注意すべきポイントは以下の2つです。

  • 1年毎の独立した暦年贈与とすること
  • 受贈者が銀行口座を管理すること

1年毎の独立した贈与でなければ、暦年贈与になりません。
例えば、10年間、毎年110万円ずつ贈与することにすると、1年目に110万円×10年=1,100万円を贈与する扱いになります(連年贈与)。
連年贈与では、基礎控除の110万円を差し引いた990万円に対して課税されてしまいます(連年課税)。

これを避けるためには、たとえ実際には何年間も贈与を続けるつもりであっても、それは書類にしないことです。そして1年毎に独立した契約書を作成することをお勧めします。
別の方法としては、あえて基礎控除を少し超えた金額(例えば111万円)を贈与して、少額の贈与税を支払ってしまう、というものもあります。

 

受贈者が銀行口座を管理することも必須です。

贈与者が受贈者の名義で銀行口座を作り、銀行印も管理して、その口座に贈与するお金を振り込んだとします。この場合は、税務署に脱税と受け取られる危険性がありますので注意しましょう。

贈与の優遇制度

暦年贈与以外に、贈与の優遇制度があります。主なものを以下に挙げます。

  • 相続時精算課税制度
  • 住宅取得資金贈与の非課税制度
  • 教育資金贈与の非課税制度
  • 結婚子育て資金贈与の非課税制度

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度は、直系尊属(親や祖父母、等)から贈与してもらう場合は、2,500万円を上限に贈与税を非課税にする制度です。
ただし、非課税になるのは贈与税だけで、相続の際にこの制度を利用した金額に対して相続税がかかります。(文字通り「相続時」に「精算」して「課税」するわけです。)

注意すべきポイントは、相続時精算課税を選択した贈与者からの贈与は、その年以降すべて相続時精算課税となるということです。暦年課税暦年課税ではないため、前述の110万円の非課税枠は利用できなくなります。相続時精算課税制度を使用するかどうかは、どちらが得かをよく検討したうえで決定する必要があります。

住宅取得資金贈与の非課税制度

住宅取得資金贈与の非課税制度は、自分たちが住む住宅の購入資金を直系尊属(親や祖父母、等)から贈与してもらう場合は、非課税限度額まで贈与額を非課税にする特例です。

非課税限度額は最大3,000万円です。非課税限度額は、家屋の種類(省エネ住宅かどうか)、契約締結日、消費税率によって異なります。
特例の適用を受けられるかどうかも、様々な条件があります。

詳しくは国税庁 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税を参照お願いします。

教育資金贈与の非課税制度

教育資金贈与の非課税制度は、直系尊属(親や祖父母、等)から30歳未満の受贈者が教育資金の一括贈与を受けた場合は、1,500万円を上限に一定条件の下で贈与税を非課税とする特例です。

学校への支払いとして該当するものは、入学金、授業料、給食費、等です。学校以外の塾、予備校や習い事などへの支払いも対象ですが、これらについては500万円が上限です。

詳しくは文部科学省 教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置を参照お願いします。

結婚子育て資金贈与の非課税制度

結婚子育て資金贈与の非課税制度は、直系尊属(親や祖父母等)から20歳から49歳までの直系卑属(子供や孫、等)が結婚・子育て資金の贈与を受けた場合は、1,000万円を上限に贈与税を非課税とする特例です。

結婚資金の上限は300万円です。結婚資金として該当するものは、結婚式、結納や結婚に伴う引越し等にかかる費用です。
子育て資金として該当するものは、妊娠、出産や不妊治療にかかる費用および子供の医療や保育にかかる費用です。

詳しくは内閣府 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置を参照お願いします。

おわりに

今回は贈与について書きました。
眠っている資産は、早めに次世代に資産継承して、有効活用してもらいましょう。

今後、相続についても、書く予定です。ご期待ください。

 

ここまでお読みいただきありがとうございました。
皆様のお役に立てましたら幸いです。

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