資産の構築と運用の5つのステージ

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【マネーリテラシー】極端回避性に気をつけろ! 特上うな重に隠された罠

うな重

ウィステリアファイナンス主筆です。

本ブログ『資産の構築と運用の5つのステージ』では、段階的に資産を構築し運用することを提唱しています。(詳細は「『資産の構築と運用の5つのステージ』とは 各ステージの概要」を参照お願いします。)

本ブログでは、ときどきマネーリテラシーとして資産運用に関する概念、理論、等を紹介していきます。

今回は極端回避性についてです。
うなぎ屋さんで、うな重(うな丼でもよいですが)を注文しようとすると、お品書きに特上・上・並と書かれていることが多いです。お寿司屋さんの握り寿司でも、松・竹・梅とか3つのコースがあることが多いですね。これには理由があるのです。

極端回避性とは

うなぎ屋さん、お寿司屋さん以外の飲食店でも、また飲食業以外の商売でも、売り手から買い手に3つのグレードおよび価格が異なる商品が選択肢として提示されることが多いです。

これには理由があります。人間の極端回避性という性質が、意識して、あるいは、無意識に利用されているのです。

 

極端回避性は、行動経済学で提唱されている概念の1つです。

日本大百科全書(ニッポニカ)』によると、行動経済学は「人間がかならずしも合理的には行動しないことに着目し、伝統的な経済学ではうまく説明できなかった社会現象や経済行動を、人間行動を観察することで実証的にとらえようとする新たな経済学」です。ハーバート・A・サイモン、ダニエル・カーネマン、リチャード・H・セイラーらによって確立されました。
伝統的な経済学では、人間は必ず合理的に行動する前提でしたが、実際にはそうとは限らない、ということですね。
人間が必ずしも合理的に行動しないのは、判断が必ずしも合理的には行われていないためです。これは認知バイアスの影響と考えられており、その一つが極端回避性です。

(行動経済学は本当に面白くて役に立つ学問ですので、まずは入門書を一読することをお勧めします。)

 

極端回避性とは「人間は両極端を避ける傾向がある」ということです。
この極端回避性のため、3つのグレードおよび価格が異なる商品が選択肢として提示されると、買い手は真ん中の商品を選ぶ傾向にあります。

一番ハイグレードで高価格な商品は割高に感じます。逆に一番ローグレードで低価格な商品は、品質が悪くて「安物買いの銭失い」になるおそれがあります。また他人にケチとか貧乏人とか思われるのは嫌ですよね。こうして真ん中の商品が選ばれます。

 

同様の概念に、心理学のゴルディロックス効果があります。これも3つの選択肢があると「ちょうど良い程度」を選ぶということです。
なお、この名前はイギリスの童話の『ゴルディロックスと3匹のくま』にちなんでいるそうです。
景気が過熱も冷え込みもしない適度な状況にある状態をゴルディロックス相場と言いますが、これもこの童話に出てくる熱くも冷たくもないスープにちなんでいるそうです。面白いですね。

 

同様のことがマーケティングの世界では松竹梅理論と呼ばれています。(日本だけでしょうが。)

極端回避性に気をつける

「3つの商品のうちの真ん中を選びがちなことはわかった。それで何が問題ですか?」と言いたい方々もおられるかと思います。

何が問題かというと、売り手に誘導されてしまうということです。

 

選択肢がハイグレードで高価格の商品とローグレードで低価格の商品の2つとします。一般的には、この場合はハイグレードで高価格の商品が4、ローグレードで低価格の商品が6の4:6の割合で売れるそうです。両者ではローグレードで低価格の商品のほうが割安と考えられるためです。

うな重の上が2,000円、並が1,000円とします。この場合、客単価は
 2,000円×0.4+1,000円×0.6=1,400円
です。

 

ここで、さらにハイグレードで高価格の商品をラインナップに追加して、選択肢を3つにしたらどうなるでしょうか?

はい、ここで極端回避性が効くのですね。
一般的には、この場合は超ハイグレードで超高価格の商品が2、ハイグレードで高価格の商品が5、ローグレードで低価格の商品が3の2:5:3の割合で売れるそうです。

うな重の特上が3,000円、上が2,000円、並が1,000円とします。この場合、客単価は
 3,000円×0.2+2,000円×0.5+1,000円×0.3=1,900円
です。選択肢が上と並だけの場合は1,400円でしたので、500円の上昇です。

このように、実際にはあまり売れない高価な商品をあえてラインナップに追加することによって、真ん中の商品に誘導して、客単価を上げることが可能になるわけですね。高価な商品の利益率を高く設定すると、さらに利益は上がります。

 

選択肢が4つの場合も、極端回避性のために2番目と3番目を選択する人が多いです。
でも、この場合は、2番目を選んだ人は3番目を選んだほうがよかったのではないかと、逆に3番目を選んだ人は2番目を選んだほうがよかったのではないかと、モヤモヤして、選択肢が3つの場合ほどスッキリしないそうです。
だから選択肢が3つの場合が多いのです。売る側も選択肢を4つ用意するのも面倒ですしね。

 

物やサービスを購入する際には、人間には極端回避性があることを意識して、なんとなく真ん中のものを選ばないようにしましょう。極端回避性の罠に引っかからないように気をつけましょう。

逆に売る側の立場からは、商品構成に極端回避性を利用できます。でも、あまり悪用しないようにしてくださいね。

おわりに

今回は極端回避性について書きました。

極端回避性の罠に引っかからないようにするためには、他の商品との比較という相対的な価値観ではなく、何にならいくら出すという絶対的な価値観が重要ですね。

 

ここまでお読みいただきありがとうございました。
皆様のお役に立てましたら幸いです。

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