【マネーリテラシー】1つのかごにすべての卵を入れてはいけない 資産ポートフォリオによる3種類のリスク分散と2種類のリバランス
本ブログ『資産の構築と運用の5つのステージ』では、段階的に資産を構築し運用することを提唱しています。(詳細は「『資産の構築と運用の5つのステージ』とは 各ステージの概要」を参照お願いします。)
本ブログでは、マネーリテラシーとして資産運用に関する概念、理論、等を紹介していきます。
今回は資産ポートフォリオについてです。
資産ポートフォリオは、今までも本ブログの記事に何度も出てきました。断片的な記載となっていましたので、一度まとめて整理してみます。
資産ポートフォリオを組む目的
資産ポートフォリオとは、現金、株式、債券、不動産、貴金属、仮想通貨、等の個人や法人が保有している資産の一覧のことです。
参考までに、ポートフォリオ(英語の"portfolio")は紙ばさみや書類入れのことで、語源は紙入れ、札入れを意味するイタリア語の"portafoglio"ということです(出典:Wikipedia)。欧米では紙ばさみに資産の明細書を保管していたので、ポートフォリオが資産のことを指すようになったそうです。
資産ポートフォリオを組む目的はリスク分散です。
ここでよく出てくるのは卵とかごのたとえですね。
1つのかごにすべての卵を入れてしまうと、そのかごが落ちたときにすべての卵が割れてしまうが、いくつかのかごに分けて入れておけば、たとえ1つのかごを落としてしまっても、他のかごに入れた卵は大丈夫です、というやつです。
このように、資産ポートフォリオを組んで、資産を一種類に集中せずに分散して持つことで、リスクを軽減しつつ、ある程度のリターンを得ることを目指します。
資産ポートフォリオとアセットアロケーション
資産ポートフォリオと似た概念にアセットアロケーションがあります。
資産ポートフォリオが資産の具体的で詳細な組み合わせであるのに対して、アセットアロケーションは資産の大まかな配分という違いがあります。
資産ポートフォリオを組む流れは、以下の通りです。
- アセットアロケーションを決定する
- アセットアロケーションにあわせて投資する
- 資産ポートフォリオが完成する
資産ポートフォリオがひとまず完成しても、それで終わりではありません。そのことについては、あとで説明します。
3種類のリスク分散
資産ポートフォリオを組む目的はリスク分散です。リスク分散には主に以下の3種類があります。
- 種類の分散
- 地域の分散
- 時間の分散
種類の分散は、主に現金、株式、債券、不動産、貴金属、仮想通貨、等のカテゴリーの分散です。(種類をカテゴリーに言い換えただけかもしれませんが...)
資産ポートフォリオを組むには、相関関係が弱い(相関係数の値が"0"に近い)種類の組み合わせを選ぶのが望ましいです。相関関係が弱いとは、価格決定のメカニズムが異なっているということです。必ず一緒に値上がりしたり、一緒に値下がりするのではリスク分散になりませんので。
ただし、逆相関(相関係数の値が"-1"に近い)も望ましくありません。一方が値上がりしたら、必ずもう一方が値下がりするのでは、いつも相殺されて利益が出ませんから。
同じカテゴリーの中でも、さらにサブカテゴリーに分かれます。
例えば株式では、自動車、半導体、機械、医薬品、食品、等のセクターに分かれます。
同じセクターでも、さらに会社で分かれます。自動車のセクターでも、トヨタ、日産、ホンダといった感じです。
たとえどんな優良企業でも、何が起こるかわかりませんので、1つの会社に資金を集中するのはあまり望ましくありません。東京電力、東芝、シャープ、等の実例がありますね。
種類の分散には、カテゴリーの分散の他にもあります。
例えば、ハイリスク・ハイリターンかローリスク・ローリターンかの分散、インカムゲイン重視かキャピタルゲイン重視かの分散です。(インカムゲインとキャピタルゲインにつきましては、「【マネーリテラシー】インカムゲインとキャピタルゲイン 金の卵を産むガチョウ」を参照願います。)
地域の分散は、大きくは国内と海外の分散です。海外の中でも先進国か新興国か、先進国の中でも北米かヨーロッパかオセアニアか、北米でもアメリカかカナダかと細分化されます。不動産の場合は、同じ国の中でも、さらに細分化されます。
不動産の場合は、同じ国の中でも、さらに細分化されます。アメリカでもカリフォルニアかテキサスかハワイかといった感じですね。
ここでも、資産ポートフォリオを組むには、相関関係が弱い地域の組み合わせを選ぶのが望ましいです。
時間の分散は、ある種類およびある地域の資産を購入または売却する場合に、取引を一度には行わず、時期を何回かに分けるということです。
価格の変動が激しい株式投資の場合を想像するとわかりやすいですね。安いと思って一度に購入しても、さらに値下がりするかもしれません。何回かに分けて購入するのが無難です。もちろん一度に最安値で購入できればそれにこしたことなないのですが、なかなかそうはいきません。売却の場合も同様です。
なお、不動産、等の価格が高い資産の場合は、自然と時間が分散されます。
資産ポートフォリオのリバランス
先述の通り、資産ポートフォリオがひとまず完成しても、それで終わりではありません。
資産を運用する間に、資産ポートフォリオを調整する必要が出てきます。これをリバランスといいます。
リバランスでは、一般的には構成比率が上がった種類の資産を売却し、その資金で構成比率が下がった種類の資産を購入します。
リバランスには短期的なリバランスと長期的なリバランスの2種類があります。
短期的なリバランスはアセットアロケーションは変更しない場合です。
資産を運用する間に、ある種類の資産は値上がりし、別の種類の資産は値下がりする、ということが当然ながら起こります。(もし、全てが値上がりしたり、全てが値下がりするようでは、そもそもリスク分散という資産ポートフォリオの目的を果たしていないということになりますね。)
こうして資産ポートフォリオがアセットアロケーションからずれてきますので、資産ポートフォリオを見直してアセットアロケーションにあうように調整します。
長期的なリバランスはアセットアロケーションを変更する場合です。
例えばこのような場合です。年齢を重ねるにつれて、ハイリスク・ハイリターン資産の構成比率を下げて、代わりにローリスク・ローリターン資産の構成比率を上げたい。以前に日本の経済成長と海外の経済成長の関係を予測したが、実績は異なってきているので、国内資産と海外資産の構成比率を変更したい。
このような場合は、アセットアロケーションを変更し、それに資産ポートフォリオをあわせます。
おわりに
今回は資産ポートフォリオについて書きました。
資産ポートフォリオでしっかりとリスク管理して、安定的な資産運用をしましょう。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
皆様のお役に立てましたら幸いです。
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