資産の構築と運用の5つのステージ

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【ステージ5】資産の出口戦略を考える 次世代への継承

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ウィステリアファイナンス主筆です。

 

コロナ禍もだいぶ落ち着いてきた感じがします。気が緩むと感染者は増えますが、気を引き締めると減る感じです。様子を見ながら、経済活動を徐々に戻していくしかないでしょうね。

 

前回は、リタイア前の準備について説明しました。
今回は、資産を次世代に継承する方法について説明します。

次世代への継承の必要性

人生100年時代を迎え、リタイア後も資産運用を続けて、資産を守ることが重要です。
ただし、必要以上の資産があっても、結局は相続税で取られるだけです。

寿命が伸びていますので、相続した側も既に高齢で、資産を使わないうちにまた次の相続、というケースも増えていきます。
結局、資産は活用されずに眠り続けた挙句、国庫におさまることになります。非常にもったいない話です。

このため、資産の出口戦略として、資産を次世代に継承することが重要です。

資産を次世代に継承する手段としては、主に贈与貸与相続があります。

贈与について

このセクションでは、贈与について簡単に説明します。

政府は経済活性化等の目的から「高齢世帯から現役世帯への資産移転」を促進すべく、いくつかの優遇制度を整えています。
これらを活用して、相続を待たずに、贈与による早めの次世代への資産継承を検討することをお勧めします。

暦年贈与

最も使いやすい贈与の制度は暦年贈与です。暦年課税となるような生前贈与のことです。

生前贈与とは、生存している個人から別の個人へ資産を無償で渡すことです。
贈与する人を贈与者、贈与される人を受贈者と言います。贈与税は贈与者ではなく受贈者に課されることに注意しましょう。

暦年課税の基礎控除は110万円です。つまり、受贈者が1年間で贈与された金額が110万円以下なら贈与税は非課税です。(なお、何人かの贈与者から贈与された場合、個々の金額が110万円以下ではなく、総額が110万円以下なら非課税です。)

暦年贈与では、この基礎控除を活用して、非課税で資産を継承します。
以前に「【ステージ2以降】NISAについて 概要と3種類のNISAの使い分けのポイント」で説明しましたジュニアNISAと暦年贈与は親和性が高いです。併せて使うのがお勧めです。

贈与の優遇制度

暦年贈与以外に、贈与の優遇制度があります。主なものを以下に挙げます。

  • 相続時精算課税制度
  • 住宅取得資金贈与の非課税制度
  • 教育資金贈与の非課税制度
  • 結婚子育て資金贈与の非課税制度

貸与について

このセクションでは、貸与について簡単に説明します。

贈与の重要性は理解していただけたと思います。
しかしながら、贈与への心理的なハードルは高いのが現実ではないでしょうか?
贈与してしまうと、自分自身の老後でいざ何かあった時が心配ですね。資産に十分な余裕がない場合は、なおさらです。

 

お子さんやお孫さんの力にはなりたいが、自分自身のことが心配で贈与の決心はつかない。
そのような方々には、贈与の代替手段として、貸与という選択肢もあります。要するにお金を貸すということですね。

お子さんやお孫さんが最もお金を必要として家計が厳しいときに貸しておいて、何年かして家計に余裕が出たときに返済してもらうのです。
最もお金を必要とするのは、贈与税の非課税枠でも出てきた、結婚、子育て、教育および住宅取得ですね。

相続について

上手に相続するためには前もって計画的に準備する必要があります。ただし誤った相続対策をとると逆効果になることもありますので、注意が必要です。

相続において考慮すべきポイントは、主に以下の2つと思います。

  • 相続トラブルの回避
  • 相続税の節税

相続トラブルの回避

相続トラブルの話はよく聞きます。著名人の没後の遺族間のスキャンダルはしばしば報道されます。遺産相続をめぐる事件を扱う小説、映画やドラマも多いですね。これは避けたいものです。
なお、富裕層は専門家に相談してあらかじめ準備しているため、意外にトラブルは少ないそうです。かえって何も準備してない庶民が、(少額の)遺産をめぐってもめがちです。
また、夫から妻、妻から夫への一次相続では問題なくとも、相続した妻または夫の没後の二次相続でトラブルが発生する場合も多いです。

 

相続人の間のトラブルを避けるための対策として、一般的に言えることは、遺言を適正に作成して管理することです。

遺言の内容については、遺留分を侵害しないことが重要です。遺留分とは、一定の範囲の法定相続人に認められる最低限の遺産取得分のことです。
たとえ遺言の分配に不満があったとしても、遺留分が確保されていたら、そのまま我慢する可能性が高いです。 しかし遺留分を侵害していた場合には、裁判沙汰になる可能性が高くなります。実際に遺言の一部が無効とされる判例も多いです。

遺言については、専門家に相談して準備することをお勧めします。

 

遺言以外に重要なことは、相続のために資産ポートフォリオを整備することです。
整備する上でのポイントは、以下の通りです。

  • 分割しやすいこと
  • 換金しやすいこと

分割しやすいことは、被相続人が複数人の場合に、適正な比率で遺産を分割しやすくするためです。
換金しやすいことは、相続人が売却しやすいということです。
資産ポートフォリオを整備して、分割が難しい資産と換金が難しい資産は売却して、換金しやすい資産に置き換えることをお勧めします。

相続税の節税

なるべく相続税は課されずに、より多くの資産を遺族に相続してもらいたいのが人情ですね。
自分は資産が少ないので、相続はあまり関係ないと思っている方も多いかもしれません。しかし、2015年に相続税基礎控除額が4割も減額されました。将来、政府財政の悪化とともに、さらに減額される可能生があります。ますます身近になるわけですね。

 

相続税の節税の方法には、主に以下の2つがあります。

相続税評価額を下げることについて説明します。

現金の場合、その金額が相続税評価額となります。それに対し他の資産は異なる場合が多いです。

例えば不動産は一般的に相続税評価額を下げることができます。
資産ポートフォリオを整備して、他の資産を収益物件の不動産に入れ替えることは、相続税評価額を下げるために有効な対策です。

 

次に相続税の控除額を増やすことについて説明します。

相続税基礎控除額は 3,000万円+(600万円×法定相続人の数) です。

これとは別に、生命保険の非課税枠として 500万円×法定相続人の数 があります。
したがって生命保険によって相続税の控除額を増やすことができます。

世の中には相続対策用の生命保険もあります。資産ポートフォリオへの生命保険の追加を検討してもよいと思います。

おわりに

今回は資産を次世代に継承する方法について書きました。
眠っている資産は、早めに次世代に継承して、有効活用してもらいましょう。

 

今回で【ステージ1】家計の黒字化から【ステージ5】資産の安定的な運用と継承までの説明が一通り完了しました。
次回からは、その時点で気になるテーマについて書いていく予定です。(なかなか記事を書く時間がとれず、投稿頻度が低くて申し訳ありませんが...)

 

ここまでお読みいただきありがとうございました。
皆様のお役に立てましたら幸いです。

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