【ステージ5】資産の安定的な運用と継承 贈与と相続も考慮
本ブログ『資産の構築と運用の5つのステージ』の各ステージの概要は 「『資産の構築と運用の5つのステージ』とは 各ステージの概要」で説明しました。
また前回は【ステージ1】家計の黒字化について説明しました。
今回は【ステージ5】資産の安定的な運用と継承について説明します。
【ステージ5】は、リタイア後のステージです。ただしリタイア前の準備も含めて取り扱います。
- 【ステージ1】家計の黒字化
- 【ステージ2】投資優遇制度の活用
- 【ステージ3】投資資金の準備
- 【ステージ4】投資による資産構築の加速
- 【ステージ5】資産の安定的な運用と継承 ← ここ
リタイア後の収支の見直し
定年退職すると仕事からの収入が無くなります。再雇用や再就職しても、ほとんどの場合は減少します。またパートやフリーランスの形で仕事を継続しても、ほとんどの場合はさらに減少します。
その代わり各種年金の受給が始まりますが、多くの方々は総収入が減少することになります。
このようにリタイア前後で家計の収支において大きな変化があります。
リタイアをソフトランディングできるように、あらかじめ家計の収支の変化に対して準備を行う必要があります。
準備は収入と支出の両方で必要です。
リタイア後の支出については、実際になってみないと正確にはわからないところもあると思います。ただし、リタイア前の支出を把握して、それを元にリタイア後の支出の目標設定をすることは重要です。
リタイア後の収入についても目標設定をします。
両者をすり合わせることでリタイアをソフトランディングすることが可能になります。
資産の安定的な運用
【ステージ1】から【ステージ4】まで、資産を増やすことを重視してきましたが、【ステージ5】では減らさないことを重視します。
資産ポートフォリオを以下の観点から見直すことをお勧めします。
前者は「資産を減らさないことを重視」を言い換えただけですね。
後者について補足説明します。
キャピタルゲインは「資産価値の上昇による利益」です。資産を売約して確定します。
これに対しインカムゲインは「資産を保有中に得られる利益」です。
株式投資の場合、売却益がキャピタルゲイン、配当や株主優待がインカムゲインです。
インカムゲインにより、年金以外に安定した収入を得ることが出来ます。
資産の次世代への継承
次世代への継承の必要性
「【ステージ5】では資産を減らさないことを重視します」と書きましたが、減らすことを考えたほうがよい場合もあります。
それは資産に余裕がある場合です。
人生100年時代を迎え、リタイア後も資産運用を続けて、資産を守ることが重要です。
ただし、必要以上の資産があっても、結局は相続税で取られるだけです。
寿命が伸びていますので、相続した側も既に高齢で、資産を使わないうちにまた次の相続、というケースも増えていきます。
結局、資産は活用されずに眠り続けた挙句、国庫におさまることになります。非常にもったいない話です。
このため【ステージ5】では、資産の出口戦略として、資産を次世代に継承することについても取り扱います。
資産を次世代に継承する手段としては、主に贈与と相続があります。
贈与について
政府は経済活性化等の目的から「高齢世帯から現役世帯への資産移転」を促進すべく、贈与税の非課税枠の新設・拡充やジュニアNISA、等の制度を整えています。
これらを活用して、相続を待たずに、贈与による早めの資産の次世代への継承を検討することをお勧めします。
眠っている資産を次世代に有効活用してもらいましょう。
贈与の重要性は理解していただけたと思います。
しかし、贈与してしまうと、自分自身の老後でいざ何かあった時が心配です。
そのような場合には、贈与の代替手段として、貸与という選択肢もあります。
お子さんやお孫さんが最もお金を必要として家計が厳しいときに貸しておいて、何年かして家計に余裕が出たときに返済してもらうのです。(最もお金を必要とするのは、結婚、子育て、教育および住宅取得です。)
相続について
生前に贈与しておくことで、相続の対象額を減らすことができます。贈与も相続対策の一環としてとらえることができます。
ただし自分自身の生活を考えると、資産の全てを贈与するわけにもいきません。したがっていくらかの資産が遺産として相続の対象となります。
上手に相続するためには前もって計画的に準備する必要があります。ただし誤った相続対策をとると逆効果になることもありますので、注意が必要です。
相続において考慮すべきポイントは、主に以下の2つです。
- 相続トラブルの回避
- 相続税の節税
相続のために資産ポートフォリオを整備することも重要です。
主なポイントは以下の通りです。
【参考】収支モデル
収支モデルとは
【ステージ4】の収支モデルを説明します。
収支モデルには以下の3種類があります。
- 収入のモデル
- 収入と支出と投資のモデル
- 資産のモデル
収入のモデルは収入の内訳を示します。
収入と支出と投資のモデルは収入、支出、投資および貯蓄の関係を示します。
資産のモデルは月初と月末の資産の差異と投資と貯蓄の関係を示します。
収入のモデル
収入については以下の式が成立します。(フルリタイアが前提です。)
- 収入 = 年金からの収入 + 投資からの収入 + その他の収入
【ステージ5】から仕事からの収入がなくなり、その代わりに年金からの収入が加わります。
収入と支出と投資のモデル
収入と支出と投資については以下の式が成立します。
- 収入 - 支出 = 投資 + 貯蓄
- 投資 = 個人投資
【ステージ5】では投資から個人年金の掛金とNISAの掛金がなくなります。
資産のモデル
資産については以下の式が成立します。
- 月末の資産 = 月初の資産 + 投資 + 貯蓄 - 贈与
【ステージ5】から資産の一部を次世代に贈与します。(資産に余裕がある方々のみです。)
【参考】資産ポートフォリオ
資産ポートフォリオとは、現金、株式、債券、不動産、貴金属、仮想通貨、等の個人や法人が保有している資産の一覧のことです。
資産ポートフォリオを組む目的はリスク分散です。
資産を一種類に集中せずに分散して持つことで、リスクを軽減しつつ、ある程度のリターンを得ることを目指します。
『資産の構築と運用の5つのステージ』では、資産ポートフォリオを段階的に構築することをお勧めします。
資産ポートフォリオの内容は、新社会人からリタイア後世代までのライフステージの遷移につれて変化していきます。
【ステージ5】は【ステージ4】の資産ポートフォリオを継続して運用します。
国内 | 海外 | |
---|---|---|
現金 | 〇 | 〇 |
株式 | 〇 | 〇 |
不動産 | 〇 | 〇 |
おわりに
今回は資産の安定的な運用について、また贈与と相続について書きました。
次回からは各ステージをさらに要素ごとにブレークダウンして説明していきます。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
皆様のお役に立てましたら幸いです。
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