資産の構築と運用の5つのステージ

資産を構築し運用して、より自由に生きるために。家計改善、株式投資、不動産投資、相続・贈与、マネーリテラシー等、新社会人からリタイア後世代まで全ての皆様に役立つ情報を発信していきます。

【ステージ4以降】資産ポートフォリオの展開 国内不動産の次は海外不動産に投資

イタリアのマンション

 

ウィステリアファイナンス主筆です。

以前に「【ステージ4以降】株式投資の次は不動産投資 では現物不動産かREITか」において、株式の次は不動産、それも現物不動産に投資することをお勧めしました。また「【ステージ4以降】資産ポートフォリオの展開 不動産はまず国内の物件から」において、不動産としては最初に国内の物件から投資することをお勧めしました。

資産ポートフォリオに、現金(国内と海外)、株式(国内と海外)そして国内不動産と組み込んだら、次はいよいよ海外不動産の番です。

今回は海外不動産への投資について説明します。

国内不動産の次は海外不動産に投資

本ブログ『資産の構築と運用の5つのステージ』では、段階的に資産を構築し運用することを提唱しています。(資産の構築と運用の5つのステージの詳細はこちら)を参照お願いします。)

資産ポートフォリオも段階的に構築します。
資産ポートフォリオは、以前に「【ステージ4】投資による資産構築の加速 考慮すべきは資産ポートフォリオ」で説明しました。資産を1種類に集中せずに分散して持つことで、リスクを軽減しつつ、ある程度のリターンを得るというものです。

資産ポートフォリオの構築の順番として「【ステージ4】投資による資産構築の加速 資産ポートフォリオの継続的整備」では、まず比較的ハイリスク・ハイリターンな株式に投資すること、次に株式と性格の異なる不動産に投資することをお勧めしました。

 

【ステージ4以降】資産ポートフォリオの展開 不動産はまず国内の物件から」において、不動産としては最初に国内の物件から投資することをお勧めする理由として以下を挙げました。

  • 理由1:最初は国内不動産で不動産投資の経験を積んだほうがよい
  • 理由2:国内不動産のほうが海外不動産より比較的リスクが低い
  • 理由3:多くの人は資産ポートフォリオで海外資産より国内資産の比率が高い

国内不動産への投資を開始した後では、経験を積んだことで理由1は解消したと思います。
また資産ポートフォリオに占める国内資産の割合も上昇するため、理由3も解消したと思います。
理由2は外部要因ですので解消はしませんが、経験を積むことで未経験の場合よりリスクの回避と軽減ができるのではないでしょうか。

それでは、海外不動産への投資を開始しましょう。

日本の不動産業者が無難

海外不動産と言っても、範囲はとてつもなく広いですね。

まず絞り込むのは、日本の不動産業者が取り扱っている物件です。

不動産業者も慈善事業でやっているわけではありません。当然、不動産業者に中間マージンをとられるため、その分ローリターンとなります。
でも、自分で現地の不動産業者と直接コンタクトして、物件を探したり、契約を締結したりするのはハードルが高いですよね。
中間マージンを必要経費と割り切り、日本の不動産業者を利用するのが無難ではないでしょうか。(「それでもハイリターンを求めて自分自身でやる」と言うなら止めはしませんが。)

 

海外の物件を扱っている日本の不動産業者はWebを検索するといくつも出てきます。
投資セミナーは頻繁に開かれています。本も、投資した人の体験談を含めて、たくさん出版されています。
実際に投資する予定の1、2年前から、コンタクトを取って情報収集をすることをお勧めします。

海外不動産の主な投資対象

日本の不動産業者が取り扱っている海外の物件では、以下の2つのカテゴリーが特に多いです。

  • 先進国の中古物件
  • 新興国の新築物件

先進国の中古物件では、日本で流通している物件は先進国の中でも国は限られています。主にアメリカ、イギリス、ドイツです。
アメリカでも地域は限られていて、カリフォルニア、ニューヨーク、ハワイ、テキサスといったところです。他が割高と感じさせる現在、今後の高成長が期待されるテキサスの人気が高まっています(個人の感想です)。

新興国の新築物件でも、日本で流通している物件は新興国の中でも国は限られています。主に東南アジア、それもフィリピン、タイ、ベトナムカンボジア、マレーシアです。
特にフィリピンとカンボジアは、平均年齢は20台で、今後の人口増加による高度経済成長が期待されます。(人口増加が経済成長に与える効果を人口ボーナスと呼びます。)
ラオスミャンマーも平均年齢は20台ですが、社会インフラの整備がフィリピンとカンボジアよりも更に遅れているため、日本に流通するような物件はほとんどないようです。

 

投資対象は、取り扱う不動産業者も物件も多い、上記の2つのカテゴリーに絞るのがよいでしょう。

先進国の中古物件と新興国の新築物件の比較

次に先進国の中古物件と新興国の新築物件を比較してみます。

 

いつものリスクとリターンの2軸で分類しますと、一般的に先進国の中古物件はローリスク・ローリターンです。

新興国と比べて政治的にも経済的にも安定していますので、ローリスクと言ってよいでしょう。

リターンは物件により差がありますが、日本の物件と同程度です。
アメリカの場合は、地域により差がありますが、経済成長にともない更なる上昇が期待できます。
特にアメリカは法律が借り手より貸し手に有利になっているため、賃貸料が上昇しやすく、インカムゲインの増加が期待できます。
(アメリカでは、契約更新時に、貸し手が提示する新しい賃貸料で借り手が合意しない場合は、直ちに借り手に退去してもらうことができます。日本では幸か不幸かそうはいきません。)

 

これに対して、一般的に新興国の新築物件はハイリスク・ハイリターンです。

ハイリスクと判断する理由には、新興国のリスク新築のリスクの2つがあります。

新興国のリスクとは、新興国は先進国と比べて政治的にも経済的にも不安定ということです。

新築のリスクは、物件が完成して運営が開始され、さらに入居者が決まるまでは収入を得ることができないということです。

 

新築のリスクについて補足します。
新興国、特に東南アジアの新築マンションでは、プレビルド(Pre-build)というスキームがとられることが多いです。
プレビルドとは工事が着手される前に物件を購入することです。 購入時期が早いほど、安い価格で購入することができます。
物件の完成が遅延する、最悪は完成しないリスクを取る代わりに、高いリターンが得られる可能性があるということです。よりハイリスク・ハイリターンとなりますね。

入居者が決まらないリスクへの対策として、一定期間(例えば3年間)の収入保障を選択できる場合もあります。
当然ながら、収入保障額は、実際に入居者が決まった場合に得られる賃貸料より少額です。

先進国の中古物件のタックスメリット

先進国の中古物件には、新興国の新築物件には無い、大きなメリットがあります。
それはタックスメリットです。要するに節税効果ですね。

節税には減価償却を利用します。
確定申告において、建物の減価償却費は経費となります。このため確定申告上の不動産所得は、実際の不動産所得から減価償却費を引いたものになります。
この規定は、海外の物件であっても国内の物件と同様に適用されます。
確定申告において給与所得と不動産所得は合算されます。このため、もし確定申告上の不動産所得がマイナスの場合には、その分、給与所得が少ないことと同じになります。
つまり所得税の節税となるわけです。給与所得が高い人ほど所得税率が高いため、タックスメリットはより大きくなります。

 

タックスメリットをより甘受するための物件の条件は以下の通りです。

  • 条件1:築古であること
  • 条件2:木造であること
  • 条件3:物件価格に占める建物の割合が高いこと

条件1と条件2をまとめて説明します。

日本の税法では、建物の築年数が法定耐用年数を超えている場合には、法定耐用年数の20%の年数(端数切り下げ)で、建物の減価償却費を計上できます。
鉄筋コンクリートの建物の法定耐用年数は47年、これに対し木造は22年と短いです。木造で築年数が22年を超える場合は、4年間で集中的に減価償却費を計上できるのです。

日本の税法は、いまだに昭和(戦前?)の時代の安普請の建物を前提としており、また海外の物件への適用は想定していなかったと思われます。
実際には、海外の先進国では、築年数が100年を超える木造建築は数多くあります。

条件3ですが、土地は減価償却の対象外ですので、建物の割合が高いほど減価償却費が大きくなります。
特にアメリカ本土では、日本と異なり物件価格に占める建物の割合は6割を超えるものが多く、タックスメリットが大きいです。

不動産業者も、このタックスメリットを売り物にしており、それに適した物件を紹介している場合が多いです。

 

最後に、例を挙げてタックスメリットを概算してみます。

築年数が22年を超える木造建築の物件で、購入価格が 2,000万円 とします。
建物の評価価格が物件価格の60%としますと、建物の評価価格は 2,000万円×60%=1,200万円 です。
建物を4年間で減価償却しますと、1年あたりの減価償却費は 1,200万円÷4=300万円 です。
不動産所得を年利5%とすると、実際の不動産所得は 2,000万円×5%=100万円 です。
確定申告上の不動産所得は、実際の不動産所得から減価償却費を引いたもので 100万円-300万円=-200万円 です。
給与所得が1,200万円とすると、確定申告上の給与所得と不動産所得の合計は 1,200万円-200万円=1,000万円 です。
所得が900万円から1,200万円の場合の所得税率は33%ですので、節税効果は 200万円×33%=66万円 です。

4年間の節税効果は 66万円×4=264万円 です。

先進国の中古物件と新興国の新築物件のどちらを選択すべきか

以上、先進国の中古物件と新興国の新築物件を比較してきました。
では、どちらを選択すればよいでしょうか?

「絶対的な正解はなく、個人とその時点でおかれた状況による」というのが答えです。(一般論ですみません。)

海外不動産への投資を行う時点で、資産ポートフォリオにおいてローリスク・ローリターンの資産の比率を増やしたい場合、先進国の中古物件をお勧めします。購入後すぐに賃貸料によるインカムゲインを得ることもできます。
所得が高い方々でタックスメリットを強く求める場合も、先進国の中古物件でしょう。

逆にハイリスク・ハイリターンの資産の比率を増やしたい場合、新興国の新築物件をお勧めします。購入後しばらくの間(例えば2、3年間)はインカムゲインを得ることはできません。その代わり、売却するまでの間の価格上昇によるキャピタルゲインが期待できます(もちろんリスクあり)。

投資用住宅ローン

海外不動産向けの投資用住宅ローンは、物件の購入前に不動産業者が仲介してくれる場合がほとんどです。

金融機関は国内の場合も、海外の場合もあります。

融資の基準は国内不動産向けと比べると様々です。個人の信用力をより重視する場合も、逆に個人の信用力よりも物件の価値と収益性を重視する場合もあります。

既に国内不動産を持っている場合、それを担保にできる場合もあります。(その逆はありませんので、この意味でも国内不動産の次に海外不動産という順番は妥当と言えます。)

海外不動産のREITという選択肢も

これまでは現物不動産についてのみ書きました。
海外不動産に投資する手段には現物不動産の他に「【ステージ4以降】株式投資の次は不動産投資 では現物不動産かREITか」でも取り上げたREIT(Real Estate Investment Trust)もあります。

REITは現物不動産に比べて、少額から手軽に売買できるメリットがあります。
日本の証券会社でも取り扱っています。

海外不動産のREITも投資の選択肢に入りますので、現物不動産とあわせて検討してはいかがでしょうか?
まず資金をREITで積み立てて運用し、必要な金額がそろったら、現物不動産を購入する等、の使い分けができます。

おわりに

今回は海外不動産への投資について書きました。

不動産投資には抵抗感がある、海外となるとなおさらという方々も多いと思いますが、将来に備えて情報収集から開始してはいかがでしょうか。

今後、より詳細な情報について書いていく予定です。ご期待ください。

 

ここまでお読みいただきありがとうございました。
皆様のお役に立てましたら幸いです。

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