資産の構築と運用の5つのステージ

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【ステージ2以降】NISAにおける売却戦略 一般NISAは5年目にロールオーバーすべきか?

ロールケーキ

ウィステリアファイナンス主筆です。

NISA(少額投資非課税制度)には、一般NISA、つみたてNISAとジュニアNISAの3種類があります。

一般NISAは非課税期間は最長5年ですが、ロールオーバーという手続きを取ることで、6年目以降も継続して非課税で運用することが可能です。
つみたてNISAは20年間の運用が想定されています。
ジュニアNISAは名義人が少なくとも18歳になるまでの運用が想定されています。非課税期間は最長5年ですが、ロールオーバーで、6年目以降も名義人が20歳になるまで非課税で運用することが可能です。

このように3種類のNISAでそれぞれ条件が異なりますので、購入した金融商品をどう売却するかについては、それぞれ異なる戦略が必要になります。

今回はNISAにおける売却戦略を考えてみます。

NISAのおさらい

本ブログ『資産の構築と運用の5つのステージ』では、段階的に資産を構築し運用することを提唱しています。(詳細は「『資産の構築と運用の5つのステージ』とは 各ステージの概要」を参照お願いします。)

5つのステージのうち【ステージ2】投資優遇制度の活用からNISA(少額投資非課税制度)を使用して投資します。

 

貯蓄から投資へ」のスローガンのもと、政府はいくつかの投資優遇制度を用意してくれています。
NISAもこの一つです。毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品の売却益と配当に対する税金が非課税となる制度です。
個人で独自に投資した場合の税金は約20%ですので、この分お得です。利益が25%増しとなるのと同じです。

 

NISAには、一般NISAつみたてNISAジュニアNISAの3種類があります。
NISAの詳細は以下の記事を参照お願いします。

wisteriafinance.hatenablog.com

つみたてNISAの売却戦略

まずつみたてNISAの売却戦略を考えてみます。

つみたてNISAは20年間の運用が想定されています。いったん金融商品を売却しますと、非課税枠は復活しません。(企業型確定拠出年金(DC)とiDeCo(個人型確定拠出年金)では売却しても非課税枠は減りません。)

このため、つみたてNISAでは、バイ・アンド・ホールド戦略をとり、購入した金融商品は最後まで売却しないのがお勧めです。より長い期間、複利で運用するためです。

なお、バイ・アンド・ホールド戦略をとる前提は、実績のあるインデックスファンドを購入することです。価格が下落し続けたら、持ち続けても損失が拡大し続けるだけですから。

ジュニアNISAの売却戦略

次にジュニアNISAの売却戦略を考えてみます。

ジュニアNISAは名義人が少なくとも18歳になるまでの運用が想定されています。つみたてNISAと同様に、いったん金融商品を売却しますと、非課税枠は復活しません。売却した資金で別の金融商品を購入すると、新たに非課税枠を使うことになります。

またジュニアNISAでは原則は本人が18歳になるまで引き出しは禁止です。正確に言うと18歳以前に引き出すことは可能ですが、その場合は利益に対して課税されます。

ジュニアNISAの非課税期間は最長5年ですが、6年目以降は課税されるというわけではありません。
ロールオーバーという手続きを取ることで、6年目以降も継続して非課税で運用することが可能です。価格が上昇して年間拠出額を超えていても、超えた部分を含めて非課税で運用することが可能です。

このため、つみたてNISAと同様にジュニアNISAでも、バイ・アンド・ホールド戦略をとり、購入した金融商品は最後まで売却しないのがお勧めです。

一般NISAの売却戦略

一般NISAとジュニアNISAの非課税枠

最後に一般NISAの売却戦略を考えてみます。

一般NISAとジュニアNISAでは非課税枠について以下の共通点があります。

  • 非課税期間は最長5年である。
  • ロールオーバーにより6年目以降も継続して非課税で運用できる。
  • 購入した金融商品を売却するとその分の非課税枠は復活しない。

ただし一般NISAとジュニアNISAでは非課税枠について重大な相違点があります。

ジュニアNISAでは、非課税枠が発生するのは、制度の利用を開始して5年間です。6年目からは発生しません。

これに対し、一般NISAでは、制度の利用を開始して6年目以降も毎年新たに非課税枠が発生します。
実は一般NISAは恒久的な制度ではありません。2023年に拠出して2027年まで運用する分には一般NISAの制度は有効です。その後、制度が存続するのかはまだ決まっていません。ただし少なくとも2023年までは、非課税枠が発生します。

この一般NISAの非課税枠の性格をふまえて、売却戦略を考えてみます。

基本的な売却戦略

基本的な売却戦略は、つみたてNISAやジュニアNISAと同じバイ・アンド・ホールド戦略です。

一般NISAの制度が続く限り、ロールオーバーを続けます。より長い期間、複利で運用するためです。

ロールオーバーしないオプション

少しリスクを増やしてでも、リターンを増やしたい方々には、5年目にロールオーバーせずに売却するオプションもあります。

ここで提案するのは、バイ・アンド・ホールド戦略のアレンジです。
具体的には以下の通りです。

  • 1年目に購入した金融商品を4年目の終わりまで保持する。
  • 1年目に購入した金融商品を5年目の間にタイミングをみて売却する。
  • 5年目の間に新たに金融商品をタイミングをみて購入する。
  • 5年目に購入した金融商品を9年目の終わりまで保持する。

1年目から4年目と6年目から9年目はバイ・アンド・ホールド戦略をとります。この間は安定的に運用します。
5年目にタイミングをみて売買します。ここで少しリスクをとり、少し高いリターンを狙います。

ロールオーバーしないオプションでの売買のタイミング

ロールオーバーしないオプションでの「タイミングをみて売却/購入する」の「タイミング」を説明します。

購入のタイミングにつきましては、以下の記事で一般NISAとジュニアNISAでの購入戦略としてクォーター法を提案しています。今回もこれを提案します。

wisteriafinance.hatenablog.com

 

クォーター法について説明します。

クォーター法のクォーターは四半期(1月~3月、4月~6月、7月~9月、10月~12月)のことです。

クォーター法の購入方針は以下の通りです。

  • 年間の拠出金額を4等分し、各クォーター(四半期)に割り当てる。
  • 基本は各クォーターに1回、タイミングをみて購入する。
  • 第1クォーターから第3クォーターの資金は、それぞれ次のクォーターまでは繰り越してよい。

 

株価は数ヶ月単位で波のように山と谷を形成して変動します。
山頂の価格を最高値、谷底の価格を最安値としますと、最高値→最安値→最高値→最安値→最高値と続きます。

購入のタイミングは、最高値から最安値に下落してから、少し上昇したところです。言い換えると最高値から最安値で下落した分から、ある程度の割合で上昇したところです。この割合を上昇率と呼びます。上昇率の目安は10%~20%です。

購入のタイミングでの株価である購入ポイントは以下の通りとなります。

(購入ポイント) = (最安値) + (最高値 - 最安値) × 上昇率(10%~20%)

 

売却のタイミングも、購入のタイミングと同様です。

売却方針は以下の通りです。

  • 5年間の金融商品を4等分し、各クォーター(四半期)に割り当てる。
  • 基本は各クォーターに1回、タイミングをみて売却する。
  • 第1クォーターから第3クォーターの金融商品は、それぞれ次のクォーターまでは繰り越してよい。

売却のタイミングでの株価である売却ポイントは以下の通りとなります。

(売却ポイント) = (最高値) - (最高値 - 最安値) × 下落率(10%~20%)

パフォーマンスの比較

ロールオーバーする場合とロールオーバーしない場合のパフォーマンスを比較してみます。

年間120万円の非課税枠は全て使い切ることとします。

純化して、購入した金融商品は、9年間、毎年a%の利益がでるものとします。

 

ロールオーバーする場合の9年間のリターンは以下の通りです。

(1+a)^9 - 1 = (1+9a) - 1 = 9a

(1+a)^9は(1+a)の9乗の意味です。1>>aの場合 (1+a)^9 = 1+9a と近似しました。(以下でも同様に近似します。)

 

次にロールオーバーしない場合のリターンを考えてみます。
金融商品の利益率は毎年a%で同じとします。5年目のタイミングをみた売買でka%の利益が出るものとします。kはタイミングをみた売買の利益率と金融商品自体の利益率の比率です。

4年目の終わりの時価は 120万円 × (1+a)^4 = 120万円 × (1+4a) です。
すると5年の終わりの時価は 120万円 × (1+4a) × (1+ka) = 120万円 × {1+(4+k)a} です。
このうち120万円を非課税枠で9年目の終わりまで保持します。非課税枠に入りきらない残りの資金(120万円 × (4+k)a)は一般の課税枠で保持するものとします。

ロールオーバーしない場合の9年間のリターンは以下の通りです。

(1+a)^4 + (4+k)a×0.8 - 1 = (1+4a) + (4+k)a×0.8 - 1 = (0.8k+7.2)a

課税枠では利益から税金の20%を差し引くため、0.8をかけます。

 

ロールオーバーしない場合のリターンがロールオーバーする場合のリターンを上回るためには以下が成立しなければいけません。

(0.8k+7.2)a > 9a → k > 2.25

つまりタイミングをみた売買で金融商品のリターンの2.25倍のリターンをあげれば、ロールオーバーしない場合のリターンがロールオーバーする場合のリターンを上回るということです。

リターンが高い金融商品ほどこの条件の達成は難しくなりますね。その場合は、おとなしくロールオーバーするのがよいでしょう。

おわりに

今回はNISAでの金融商品の売却戦略について書きました。

政府がせっかく用意してくれている投資優遇制度ですので、賢く活用して資産を増やしたいですね。

 

ここまでお読みいただきありがとうございました。
皆様のお役に立てましたら幸いです。

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